離婚事件
離婚の方法
結婚が夫婦の合意によってなされるのと同様、離婚も夫婦の合意によってなされるのが原則です。離婚届を作成して役所に届け出れば離婚成立です。これを協議離婚といいます。
もっとも夫婦の話し合いにより合意がまとまらない場合もあり、このような場合、家庭裁判所の調停を利用することができます。調停では、調停委員が夫婦の言い分を聞き、調整をしてくれます。養育費や財産分与に関し、一定の調停案も示してくれる場合もあります。調停で離婚の合意に至れば、離婚成立です。これを調停離婚といいます。
次に残念ながら調停では離婚の合意に至らなかった場合、いよいよ裁判を提起することになります。これまで話し合いがベースでしたが、ここからは主張と立証の場面となります。離婚を認める判決を得れば強制的に離婚を成立させることができます。これを裁判離婚といいます。
離婚の際に夫婦で検討すべき事項としては何がありますか。
離婚は婚姻関係を解消することですが、これまで家族として生活してきたので、検討すべき点は多々あります。一番重要なのは、未成年の子どもがいる場合、親権者を誰に定めるのか決めなければなりません。未成年の子どもの親権者を定めずして離婚はできません。また、養育費の金額や面談交流の件も確認、合意しておけばよいでしょう。合意内容を確認するため協議離婚書を作成することもお勧めします。
次に財産関係も検討すべきです。夫婦の名義如何を問わず、婚姻中に形成した財産は、財産分与の対象になります。
これまで夫婦で形成してきた財産をどのように分配するか話し合っておくことが賢明です。先に説明した調停離婚や裁判離婚でもこれらのことを含めた話し合いや審理が進められていきます。
不動産
不動産の場合、分与時点の名義人(夫)がそのまま取得する場合、他方(妻)に対して時価の現金を分与することになります。もっとも住宅ローンが残っている場合、時価からローン残金を控除することになります。
預貯金
預貯金は、名義を問わず共有財産として財産分与の対象となります。夫名義の預金300万円で妻名義の預金が100万円の場合、基本的に合算2分の1の200万円ずつの財産分与となります。
保険(解約返戻金)
掛け捨て型の自動車保険や火災保険などは資産価値はありませんので、分与の対象にはなりません。しかし、積立型の生命保険には解約すれば相当額の返戻金があり、こちらは分与の対象となります。
年金分割
離婚の後に一方の配偶者の年金保険料の納付部分を分割して、もう一方の配偶者が受け取ることができる年金分割の制度もあります。これは厚生年金の部分にかぎり、国民年金は分割の対象にはなりません。
浮気(不貞行為)をした配偶者に請求できる慰謝料はいくらですか
不貞行為に対する慰謝料は、婚姻期間、夫婦の経済状態、不貞行為が行われてきた回数や期間、離婚に与えた影響など様々な事情により左右されるので、裁判でも金額はまちまちです。過去の事案でみると特殊な事案でない限り概ね100万円から300万円の間で判決が出ているようです。